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メシマズは本当にメシマズなのか

 

アニメ『おそ松さん』が好調なようで。

弊TLにおいても今期アニメは『おそ松さん』と○○、という視聴スタイルの方が多く見られ、ニコニコ動画においては第1話が100万再生を達成したとか。

 

さて、『おそ松さん』(『おそ松くん』)のようなギャグアニメ、ギャグマンガにおいては多彩なキャラクターが多彩なギャグを繰り広げるわけだが、この手の作品において極めて高確率で出現するのが所謂「メシマズ」キャラである。

カラスが鳴かぬ日があってもギャグマンガにメシマズキャラが出ない作品は無い。厳しい人気争いが繰り広げられるマンガ界に於いては「食」という、万人にほぼ説明不要で通用する普遍性、ストーリーの高い自由度、あらゆる世界観に溶けこませることができる汎用性を備えたテーマを活用しないわけがないのであろう。

 

そんなわけで、世の中には数多のメシマズキャラが存在し、その類型も多岐にわたるわけだが、なかでもよく見られるのが「あら、砂糖と塩を間違えちゃったワ(テヘ☆」などと抜かすキャラである。

 

多くの作品において(不幸な)主役級キャラ達がこうした「砂糖と塩を取り違えた料理」を口にし、ある者はブーッッ!!!!と料理を吹き出し、ある者は腹を抱えてうずくまり、ある者はその場で天に召されるわけであるが、これを読んで私は思うのである。

 

「はたして砂糖と塩を間違えただけでそんなにマズい料理ができあがるのか」

 

本日、幸運にも定時で職場を後にした私は十年来の疑問を解くべく立ち上がった。

 

まあ立ち上がったと言ってもコトは非常に単純で、夕飯を作る際に砂糖と塩を間違えるだけである。実験台となる料理は家庭料理の王者、「肉じゃが」とした。

 

今回は砂糖と塩を間違えた際の影響を見極めるのが目的なので、謎の隠し味を加えたり、料理中に他のことに気を取られて消し炭を錬成したりといったオプションは設けず、あくまで砂糖と塩以外は順当に調理するものとする。

 

材料を鍋に入れ、本来ならばここで大さじ一杯の砂糖を入れるのであるが、うっかりメシマズさんな私は間違えて塩を入れてしまうのだ。

 

 

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ここまでヘラヘラしていた私はいざ大さじ一杯に盛られた塩を見てはじめて嫌な汗が浮かぶのを知覚した。大さじ一杯の塩といえば18g、即ち厚生労働省の示した成人男性の1日あたりの塩分摂取目標量(8.0g/日)の2.25倍の量である。これは健康に何らかの悪影響を及ぼすのが明らかではないか?

 

しかし考えてみれば私は学生時代にどん*1や武道家*2を最大週8食食べてきた。つまり今ここで2.25日分の食塩の過剰摂取など誤差であるし、先月の健康診断時の血圧は90/45となかなかの低血圧を示していたから多少血圧が上がっても直ちに問題はないであろう。何よりもう食塩は匙に盛られたのだ。後戻りはできないのだ。

 

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塩に続いて醤油、酒、味醂を加え、火にかける。ちなみに当方面倒くさがりにつき予め具材を炒めたり、水や油を加えたりはしない。野菜や肉から出る分で十分である。

 

が、砂糖と塩を間違えた今では一つの不安がある。人類の解き明かした化学的性質の明らかにするところ、塩は砂糖に比べ圧倒的に水に溶けないのだ。18gの食塩は醤油、酒、味醂各大さじ1及び野菜から出る水で溶けきってくれるのであろうか…

 

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煮こむこと四半時間、ついに出来た「砂糖と塩を間違えちゃった肉じゃが」である。心配していた塩だが、無事溶けきったようだ。が、全く安堵は出来なかった。

 

まず、見た目からして肉がパサついているように見受けられ、錯覚かも知れないが全体的に具材がしなびて、また色合いも「飴色の光沢」を欠いているようだ。要するに「全く美味しくなさそう」なのだ。

 

とはいえ百見は一食にしかず。とりあえず実際に食べてみようではないか。レシピからは逸脱したとはいえ塩も料理の「さしすせそ」の一員。もしかしたらマズいのはあくまでフィクションで、実際にはまた新たな美味しさもあるやも知れぬ。

 

 

……

 

………

 

SHOPPEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!

 

 

マジでマンガのごとく吹き出すかと思った。

私は「みょうちくりんな食べ物」が結構好きであり、果物以外の珍品(抹茶小倉スパ、中学生が生み出すファミレスドリンクバー全部混ぜ飲料など)もわりあいうまいうまいと言って飲み食いするのだが、その馬鹿舌をもってしても到底「イケる」とはいえない。海水を口に流し込まれているような味だ。

 

じゃがいも、玉ねぎは突き刺さるような塩辛さが芯まで染みており、そのくせまるで生煮えかのように硬い。人参に至っては土気色でありおよそ栄養に満ちているようには感じられない。肉は見た目通り完全にしなびており味はまさしく岩塩のそれである。

 

今食卓には私一人だが、もしこれを見るものがあれば東京渡辺銀行に預金を下ろしに行くような表情をした男をそこに見つけるであろう。

 

全く好奇心は猫をも殺すというが行き過ぎた好奇心は確かに災厄をもたらす。

マズい料理を出したメシマズキャラはもれなく糾弾されるが、さもありなん、である。

 

3口目にして既に脳がこの肉じゃが、もとい海水味の野菜と肉の山を直視することを拒否、異形の物体から目を逸らしたままの食事となる。

 

皿の中身が2割ほど減ってからは体がこれを食物と認識しなくなる。具体的には嚥下に障害を来し水とともに流し込まねば飲み込めないのだ。

 

食事においてここまで肉体、精神を追い込まれたのはかつてラーメン二郎において調子こいて「ヤサイマシ背脂カタマリ*3!」なんてコールしてしまいういろうの如き背脂と天に届かんとするヤサイと対峙する羽目になった時以来である。

 

すこしでも気分を盛り上げるべく『おそ松さん』第3話の視聴を開始するが途中デカパンマンの「かりんとう」が登場するに至っては「かりんとう」のほうが遥かに食欲をそそったものである。

 

第3話の視聴が終了しても皿にはまだ半分ほどの海水が残っており、これ以上の詳述は避けるが艱難辛苦を乗り越え「砂糖と塩を間違えちゃったギャグ」はスタッフがなんとか完飲!この食事でペットボトルの水が1.5L消えた上、現在進行形で消費量が増えている。

 

当初の予定ではもう少しノリノリでこのブログ記事を書く予定であったが、出来上がったものがあんまりにもあんまりであり完全に精神がお通夜モードに切り替わってしまったため、こう、面白みのある文章になっているかは不明瞭である。申し訳。

読者諸兄におかれましてはメシマズキャラを実践するにあたっては「砂糖と間違って塩を入れる」のではなく「塩と間違って砂糖を入れる」よう自己防衛を図っていただきたく。

 

将来どんなに焦っても絶対メシマズキャラとお付き合いするのは避けような。

 

 

*1:日吉にある二郎系ラーメン店

*2:ッッセェェェェェェェェェェイッッ!!!!!!!!なラーメン店

*3:通常の「アブラ」とは異なり文字通り背脂のブロックがデン!とくる。今はなき二郎高田馬場店で見られた