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三大秘境に挑む-1-

前回の続き。いよいよ椎葉村へバスで行きますよという話。

 

朝8時過ぎころ、バスの始発であるイオンタウン日向に到着。イオンタウン日向は日向市駅から3km程離れた場所にある日向市民の買い物センターであり、同時に日向市近郊のバス路線が発着する交通センターでもある。

 

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イオンタウン日向バス停。日向市のバス交通の中心である。

 

目的のバスは9:21発であるので正直到着が早過ぎるのであるが、日向市に乗り入れる日豊本線も、駅とイオンを結ぶバスも本数がそんなに多くないうえ連絡が全く考慮されていないため、9:21のバスに乗るためにはこの時間につくバスに乗らねばならぬ。フリークエンシーなどという横文字を振りかざせばたちまちバタ臭いと斬られるのだ。

幸い朝8時という地方都市にしては大変良心的な時間にイオンが開いていてくれたので朝食を調達しテキトウに時間つぶしをしていたところ暇を持て余すどころか乗り遅れそうになったのであるが、9:20、バスのりばに到着。

 

バスがいない

 

ちょっと待ってくれ、台本に書いてない。発車まであと1分に迫っているのだからせいぜい発車間際のバスに駆け込むぐらいしか想定してない。お客さんも誰も待っておらず「乗り逃し」の字が脳裏にちらつく。

 

前日購入していたバスの1日乗車券が紙くずと化す危機に1929年のウォール街の株仲買人の気持ちを追体験しつつ固まっていると遠くからバスのエンジン音が聞こえてくる。良かった、バスは来たのだ。

 

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 日野ポンチョである。

地域のコミュニティバスとか、基幹バス路線では拾いきれなかった小需要を満たす小路線に良く投入されているバスである。

ポンチョの名前の由来は「PONと乗って、CHOこっと行く」である。町内の循環バスに使ってくださいといわんばかりのネーミングである。

これからこのバスにPONと乗って(1日2.5往復)、CHOこっと行く(片道2.5時間)のである。

 

とりあえず、他にお客はいないようなので席は選びたい放題である。とりあえず前面の展望を独り占めしてやろうと一番前の席に座る。

 

すると目の前を占めるは運転席へあがるステップ、整備に使うと思しきバケツと雑巾、運転手のカバン、そして天まで立ち上がるダッシュボードである。

そう、いかにノンステップといえども自動車という機械の構造上、タイヤや車軸のための空間も確保せねばならない。客室部分から追いやられたそれは運転席の株に安住の地を見つけ自らの居場所を奪った客室部分に対しせめてもの復讐として前面の展望を奪ってやったのだ。

 

率直に言って目の前が灰色で占められているのは実際以上に窮屈に感じるものだ。バスタブの底にうずくまっている感覚に近い。

 

前輪タイヤの反撃を受けた私はすごすごと最後部座席に撤退する。後輪タイヤの上の座席は極めて居心地が良い屋上庭園であった。

 

席を決めあとは発車を待つのみとなったが、発車時刻を過ぎているにもかかわらずバスは発車しない。運転手さんは携帯で何やら通話中である。込み入った話をしているようだが後部座席まで声は届かない。通話を中断しこちらに顔を向ける。

 

「お客さんどちらまで?」

タクシーかいな。

「上椎葉までお願いします」

タクシーの客かいな。

 

行き先を聞いた運転手氏は特に驚きもせず(当たり前だ)「ああ、上椎葉ね」と通話に戻る。

 

やがて通話は終わり運転手が語り掛ける。

「ごめんなさいちょっと車庫に行かなくちゃいけなくて。車庫寄って行ってもいいですか勿論乗ったままでよいので」

 

一体何事だろうか。断る理由もないので了承し、バスは車庫へ向けて予定より5分ほど遅れて発車した。

 

続きは次回。どうも言い回しが冗長かねぇ…書いてて疲れてしまった。